『二宮翁夜話』とは?

日本人として一度は読んでおきたい名著

二宮尊徳の門人・福住正兄が、師の身辺で暮らした4年間に書き留めた《如是我聞録》を整理し、尊徳の言行を記した書。1884~87年正編5巻刊行。正編には233話、続編(1928)には48話を収める。尊徳の自然、人生、歴史観ならびに報徳思想の全容が、平易に、私心を交えず伝えられた、尊徳の全貌を知るための手引書としても知られています。
報徳記念館初代館長・佐々井典比古氏の読みやすい現代語訳となって甦りました。
本書は、「無財から発財する勤倹の法則」「幸福を永遠にする推譲の法則」など、人々の心田を耕し、人生を繁栄に導くための心得を10の法則に分けて詳述。

広く知られる、水車やたらいの水、積小為大などの説話はもちろん、「悪民を退けて良民を育てる方法」「貧乏神・疫病神の住所」「小事を飾るな」など、具体的な示唆が多数為されています。門人たちとの問答の中には翁の笑い声まで再現され、翁の息遣いまで聞こえてくるような感覚を覚えるほどです。人として正しく生きるとは、そしてそれをどうすれば実践できるのか――。普遍の真理をやさしく示してくれる一書です。

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二宮尊徳語録

尊徳から影響を受けた著名人たち

○森信三(哲学者)
「古来尊徳翁ほどに微賎な身分から身を起こして、一般の庶民大衆にも近付きやすい大道を示された偉人は、比類がないと言ってもよい。『二宮翁夜話』は、ある意味ではわれわれ日本国民の『論語』と言ってよいかとさえ思うほどです」(『修身教授録』より)

○渋沢栄一
「私は、あくまでも尊徳先生の残された四ヵ条の美徳(至誠、勤労、分度、推譲)の励行を期せんことを願うのである」

○安田善次郎(安田財閥の創始者)
「私の資産を作った一大原因は『分限を守る』という決心を固く実行したためである(略)尊徳翁の教えにも分限論はよほど懇切に説いてある」

○豊田佐吉(豊田自動織機創業者、トヨタ自動車の源流をつくった人物)
豊田佐吉の没後六年目、一九三五年に「豊田綱領」が定められた。その第一項は「上下一致、至誠業務に服し産業報国の実を挙ぐべし」と、全社を挙げて至誠をもって勤労し、利益を上げることで社会に報いることを掲げている。

○御木本幸吉(ミキモト創業者、世界の真珠王)
真珠の養殖に成功し、ミキモトの創業者として世界の真珠王となる。二十歳の時に上京して、二宮尊徳の話を聞いて感銘を受け、尊徳の教えで事業に取り組む。伊勢の真珠島には「海の二宮尊徳たらん」と書き記されている。

○土光敏夫
「尊徳先生は、至誠を本とし、勤労を主とし、分度を体とし、推譲を用とする、報徳実践の道を唱えられ、実行に移されたのでありますが、その手法は極めて科学的であり、経済の論理にかなうものでありました」
(報徳博物館の建設に当たって、その賛助会会長の任を引き受けたときに)

○松下幸之助(PANASONIC創業者)
「悲観的に見ますと、心がしぼみ絶望へと通じてしまいます。しかし、楽観的に見るなら、心が躍動し、さまざまな知恵や才覚がわいてくる、ということを尊徳翁は言いたかったのでしょう。ぼくもその通りだと思います」
(『PHP』 昭和60年12月号)

○稲盛和夫(京セラ名誉会長)
「汗にまみれ、泥にまみれて働きつづけた『田畑での精進』が、自分も意識しないうちに、おのずと彼の内面を深く耕し、人を陶冶し、心を研磨して、魂を高い次元へと練り上げていったのです」(『生き方』より)

○武者小路実篤(作家)
「尊徳のことをまるで知らない人が日本人にあつたら、日本人の恥だと思ふ」

○佐久間貞一(大日本印刷の前身 秀英社創立)
○荘田平五郎(三菱財閥の推進者)
○伊庭貞剛(住友財閥の総理事)
○鈴木馬左也(伊庭の後継者)
○早川千吉郎(三井財閥の形成 中央報徳会の理事長)
○小倉正恒(住友の総理事)
○大原孫三郎(倉敷紡績、大原美術館、孤児院、病院等を建設)
○畠山一清(ポンプメーカー荏原製作所)
○河本春男(バウムクーヘンのユーハイム社)
○塚越寛(かんてんぱぱの伊那食品工業)


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福住正兄・原著、佐々井典比古・訳注
定価=本体2,800円+税

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目次

収録内容


二宮尊徳とは

1787~1856年。江戸時代末期の農民思想家。通称、金次郎。14歳のとき父を、16歳のとき母を失い、田畑は酒匂 川の洪水によって流失して伯父の家に寄食。苦学して一家を再興し、田畑約4町歩をもつ地主となった。旧主小田原藩家老服部家の家政改革を託され、その手腕を認められて、小田原城主・大久保忠真から模範篤農家として表彰される。さらに小田原藩領下野桜町、駿河、相模、伊豆の3国、常陸国真壁、芳賀両郡、幕府の日光神領900ヵ村などの復興に従事。600以上の村々を甦らせた。その思想や生き方は、豊田佐吉、安田善次郎、御木本幸吉、松下幸之助、土光敏夫、稲盛和夫など、大事業家たちに多大な影響を与えている。

著者・訳者プロフィール

〈原著者略歴〉
福住正兄――ふくずみ・まさえ
1824-1892 江戸後期~明治時代の農政家。二宮尊徳の門人。文政7年相模に生まれる。箱根湯本の旅館福住楼の養子となり、師の報徳思想で家業を再興。小田原藩校集成館で国学を教え、報徳社を設立して報徳運動を指導した。明治25年没。本姓は大沢。通称は九蔵。号は蛙園、福翁。著作に『富国捷径』など。

〈訳者略歴〉
佐々井典比古(ささい・のりひこ)
1917-2009 大正6年佐々井信太郎の長男として小田原に生まれる。昭和16年東京帝国大学法学部卒業。17年内務省採用、間もなく応召。神奈川県研修室長、人事課長、労働部長、総務部長、副知事、神奈川県内広域水道企業団企業長を歴任。58年より報徳博物館長・一円融合会、財団法人報徳福運社・財団法人大倉精神文化研究所各理事長を歴任。平成21年没。父・信太郎は『二宮尊徳全集』を編纂した著名な二宮尊徳研究家

『二宮翁夜話』と双璧をなす名語録

二宮尊徳四大門弟の一人として、7年にわたり師に随身した斎藤高行が、晩年を迎えた尊徳の言行をつど記録して生まれた語録集『二宮先生語録』。

「『二宮翁夜話』にまさるとも劣らない内容を有する語録」
と称されながらも長らく絶版となり、加えてすべてが漢文で記されていたために世に広まることがなかった幻の名著が、分かりやすい現代語訳となって甦りました。

本書は、尊徳が遺した471の語録を5つの巻に分けて詳述。「読書は縦糸、実践は横糸」「指導者は己に克って分を譲れ」「世のために尽くせばおのずから衣食あり」「わが道は実行にある」など、『論語』や『中庸』、『大学』などの言葉を引用しながら、上に立つ者の心得や政治のあるべき姿のみに留まらず、万人が人生を幸せに生きるための心構えがやさしく解かれています。

日本人が立ち返るべき先人の訓えがちりばめられた本書は、かつてない不安と混沌の時代を迎えたいまこそ、各人の貴重な指針となってくれることでしょう。本書を尊徳翁語録の二大源泉をなす『二宮翁夜話』と併読することで、その訓えの真髄に迫ることができるはずです。

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